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最高裁判所第一小法廷 昭和26年(れ)700号 判決 1951年8月09日

本店所在地

東京都中央区槇町一丁目五番地

株式会社藤田組

本籍

福岡県三井郡山門村大字山川三七九番地

住居

小倉市瑞穂町三丁目

藤田組広島支店倉庫係

豊福銀太

明治三四年一月三一日生

本籍

戸畑市大字戸畑七四番地

住居

同市同町七丁目小路

藤田組小倉支店資材係

住野好一

明治三七年五月二五日生

右に対する物価統制令違反各被告事件について昭和二六年三月一〇日福岡高等裁判所の言渡した判決に対し各被告人から上告の申立があつたので当裁判所は次のとおり判決する。

主文

本件各上告を棄却する。

理由

被告人三名弁護人松野秀雄の上告趣意について。

論旨第一点に主張する期待可能性論を論拠とする無罪論は原審で主張されず、原判決もこの点について何等判示していないのみならず、期待可能性を展開せる前提事実として論旨に摘示するいろいろの事実は原判決の確定判示していないところであること原判文上明らかであるから、論旨は結局原判示にそわない事実を前提とする主張に帰しとるをえない。又被告人等の犯意は被告人等の買受けた本件物資の価格が公定価格を超えたものであることを被告人等において認識するによつて成立し、さらにその違法であることの認識を必要としないことは当裁判所昭和二四年(れ)二〇〇六号同二六年一月三〇日第三小法廷判決(判例集五巻二号三七四頁)の趣旨に徴して明らかなところであるから、論旨第二点もとるをえない。されば論旨はいずれも刑訴四〇五条に定める上告の理由に当らないし、同四一一条を適用すべきものとも認められない。

よつて刑訴施行法三条の二、刑訴四〇八条に従い裁判官全員の一致で主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 沢田竹治郎 裁判官 真野毅 裁判官 斎藤悠輔 裁判官 岩松三郎)

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